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ワンポイントレッスン〜〜A子さんの初めてのいけばな体験

初めてのいけばな

 

 

第1回 花や木をよく見よう

こんにちわ。私A子といいます。いけばなは全くやったことないんですが、よろしくお願いします。

ようこそいらっしゃいました。いけばなはとても豊かで、心が癒されていく世界です。あまり硬くならずにリラックスしてこの時間を楽しみましょう。 

とりあえず母が使っていた花バサミを持ってきたんですけど。

そうですね、できればわらび手タイプのにぎるところがシンプルなものの方が奥まで届いて使い勝手が良いのですが、これでも大丈夫ですよ。

他にはどんなものを用意すればいいんですか。

できれば草月流のテキストなどがあればいいのですが、おいおい揃えていくことにしましょう。
さてそれではさっそく始めましょう。
まず花材を見てください。

うわー いろんな花や木があるんですね。目移りしちゃう。

四季の移り変わりで一年中たくさんの植物に出会えるというだけでも幸せですよね。その植物によって生け方も、イメージの膨らませ方も変わってきます。ということはいけばなの造形には無限の広がりがあるということなのです。

どれを選んだらいいのかな。

そうです。そこからもう花の勉強ははじまっているのです。花の組み合わせ方に決まりはありません。一種類だけで生けてもいいですし、沢山の花をふんだんに使ってもいいのです。  
ただ初めての方は少しアドバイスさせていただきます。よく花たちをみてください。それぞれに個性的ですね。大雑把に言うと線に優れたもの、色のきれいなもの、ボリューム感のあるものなど、あるいはそれらをすべて併せ持っているものなど。
今回は線を強調できる木と、色でポイントを出せる花を選びましょう。

木ってちょつとゴツゴツしていて扱いにくそう。

木はいけばなでは枝物といって、素材によっては曲げることができたり、大きさを出したりと、これらをマスターすれば飛躍的に造形の世界を深めていくことができるのです。

花はいろんな色があってみんなチャーミングですね。

そう。でも枝も花も一種類ずつにして生けてみましょう。一番最初にトライするのは基本花型といってマニュアルにしたがってやれば、誰でも簡単に生けられる花なんですよ。

花型なんてなんか難しそうな言葉ですね。

草月の目指すいけばなは、あくまでもその人の個性を大切にして、その人だけにしか生けられない自由な花を生けてもらおうということです。スマップが“世界にひとつだけの花”を歌いだす前から、私は“世界にひとつしかない花を生けてみよう”と言ってきました。


だから花型は野球で言えばピッチャーがマウンドへ上がる前のブルペンでの投球練習なのです。だんだんと花や木と慣れていくための途中の段階なのです。


花型は形が決められていてやや退屈かもしれませんが、その中にはいけばなの基本がいっぱい詰まっているのです。

花型ってどのくらいあるんですか。

基本が二つ、応用花型が八つほどです。

とても覚えられそうにないわ。

暗記する必要は全くありません。なにしろ植物を手にとって、花や木が語りかけてくるものを耳を澄ませて聴いてみてください。

初めてのいけばな

 

 

第2回 器や花材を選んで、いける準備をしよう!

とてもきれいに咲いている桜を使ってみたいのですが?

いいですね。春は花木といって花の咲く枝物がいっぱい出回ります。
取り合わせは何にしますか?

初めてのいけばな

同系色のバラにしてみたいのですが。
 
インパクトがあって申し分ありません。
それにバラの葉も一つ一つがしっかりしていて生けやすいですよ。
ただ棘があるので気をつけてください。
棘は親指で横から押すようにしてやると簡単に取れますから、あらかじめ大体の棘は処理しておいてください。

あっ、本当、よく取れるわ。

 

花器 水きり用ボウル ピッチャー

花器 水きり用ボウル ピッチャー

次に花器を用意しましょう。今回は水盤といって、平たくて口の広い器を使います。
それに剣山は丸いものと三日月型のもの、両方合わせて日月といいます。
 
これに挿して生けるんですね。このボウルみたいなものはどうするんですか?
 
剣山に挿す前に、枝や花を水中で切る、いわゆる水切りをするための器です。
水の中で切ると、ダイレクトに水が植物に入るわけで、水揚げがとてもよくなるのです。
ぐったりしていた草花もこうすることによって生き返るんです。
 
こうやるんですか?
 
そうそう。2、3回切ったほうがいいですよ。
花はハサミの先で真っ直ぐに、枝物はハサミの奥に固定して、斜めに切るのがコツです。
 
フーッ、結構硬いなぁ。いけばなって肉体労働ですね。
 
大丈夫、すぐに慣れますよ。

 

剣山の置き方

剣山の置き方

さてそれでは花器の中に剣山を置きます。
水盤の左手前にくるようにしてください。
重いものを生けたりするときは、あらかじめ月型の剣山を重石代わりにして、力のかかる方向とは逆に、丸い剣山に差し込んでおくのも良いと思います。

三日月が丸にピッタリはまるようにですね。

はい。
つづいてピッチャーから水を注ぐのですが、最初は剣山にうっすらとかかる程度にしておき、全部生け終わったら、もう一度満々と水を入れます。
水盤は水をきれいに見せる器でもあるのです。

初めてのいけばな

 

 

第3回 ベースとなる骨組みを立ててみよう

いけばなの基本は3本の線によって成り立っています。
長さの違うその3本の線をどの方向に、どれぐらい倒したら良いかによって形が決まってくるのです。
まず一番初めに挿す線、これを真と呼ぶことにしましょう。

初めてのいけばな

3本のうち最も長い枝ですね。

はい。この真の長さは、花器の直径プラス高さの1.5倍 に設定するのが基本ですが、お家へ帰って生けなおすでしょうから、今日は大の寸法の2倍にしておきましょう。

枝物はハサミの奥に入れて斜めに切るんでしたよね。

そうそう。
斜めに切ったら、剣山に手ごたえがあるまで真っ直ぐ挿し、皮の残っているほうに倒すと良く安定します。
今回の形は真を剣山の中央奥に挿し、左斜め前に少し倒します。
ですから挿す前に枝振りを良く見て倒す方向を決めてから、斜めに切ります。

よいしょっと。
これで良いですか?


植物には太陽の当たる日表と影になる日裏がありますから、花や葉が表を向くようにしましょう。

倒す角度はこれくらいですか?

正確に言うと垂直線から15度くらいが良いですよ。
でも定規を持ってきて測るわけではないですから、大体でいいです。

初めてのいけばな

それでは次に2番目に長い線を作ってみましょう。
副(そえ)と呼びますが、同じ桜を使ってみてください。
長さは真の4分の3です。

たくさん横枝が出ていて頭がパニックになりそう。

大丈夫。自分が出したい線だけを見て、後はできるだけカットして単純化してみてください。

こんな感じかな。でもちょっと怖いなあ。

切りすぎることを恐れないでください。
大胆に切る人ほど上達が早いのですよ。

わかりました。これでどうですか?

OKです。
副は剣山の左手前に挿し、真と同じく左斜め前に45度倒します。

45度ということは水平線からも45度ですね。

その通り。

初めてのいけばな

最後に3番目の線を立てましょう。控えと呼びます。
葉をよく整理したバラを用意し、長さは副の4分の3から、2分の1ぐらいまでにしましょう。  

バラの葉も日表が自然に見えるようにですね。

そうです。
剣山の右手前に挿し、右斜め前に75度倒します。

フーッ。なんとか格好がついたかな。

もう少し前に倒してください。やや平面的になっています。
挿しなおすときは、一度抜いてまた水切りをしてください。

花の水切りは真っ直ぐに切るんでしたよね。

剣山の挿し口 左が前方になる

剣山の挿し口 左が前方になる

これで3本の線が挿し終わりました。
これが今日の形です。つまりこの線は人間に例えれば骨に当たります。

 

 

第4回 従枝で肉付けして作品を完成させよう

この3本の線は主枝といいます。
これに対してこれから入れていく線は従枝といって、主枝を補強し肉付けするためのものです。
ですから当然のことながら従枝は主枝よりも短くなくてはいけません。

わかりました。
まず桜の枝から従枝を作ってみます。


そうですね。真の従枝と副の従枝を入れてみてください。
それぞれの近く、前後左右どこでもいいですが、あまりその主枝の角度と違いすぎても困ります。
全体的には見る人に向かってくるような勢いがあると良いですね。

ということは前へ倒すということですか?

はい。よく初心者の人はそのまま角度をつけず挿してしまうので、みんな花や枝が突っ立ってしまうのです。
もちろん後ろにも気を配って挿してください。

初めてのいけばな

次に控のバラの従枝を入れてみましょう。

同じ要領で主枝の近くに挿せばいいのですね。
でもそうやっていくと剣山の真ん中が空いてしまいますけど。


そうですね。真ん中はバラでも桜でも良いですよ。
全体の従枝を入れていく感じに仕上げてください。

従枝の本数は決まっているのですか?

いえ。そのときそのときによって多く入れるときもあれば、少なくてすむ場合もあります。
それに例えばバラの従枝を2本挿すときはそれぞれの長さを変えてやって表情も気を使うと良いですよ。

花の向きのことですか?
横顔とか正面を向けるとか。


その通り。
そしてできれば長い従枝は前方に、短い従枝は後方に挿すと立体感を強調できます。
反対にするとせっかく長短をつけたのに顔の面が揃ってしまい、平面的になってしまいます。

これでどうでしょうか?

真の後ろの従枝を入れてみてください。
そう。
少し後ろへ倒してね。
それから剣山がまだ見えています。
剣山は植物を止めるための装置ですから、それが丸見えでは興ざめです。

こんな感じかな。
  
いかにも剣山を隠しましたというのではなく、あくまでも自然に見えると良いですね。

フー。
先生やっとできました。

完成

はい。よくできました。いろいろ細かいことまでちょっと言いすぎたかなと思ったけれど、よく勉強されました。何しろ活けている時間を丸ごと楽しんじゃうという気持ちでいつもぶつかってください。 

最初はうまく生けられるかなって、ちょっとドキドキしたけど、生けているうちに夢中になってしまいとてもハッピーな気分です。ありがとうございました。

次からはまた違った角度から自由ないけばなにトライしてみましょう。お楽しみに。